実際の体験を元にした『我が家の登校しぶり克服記〜身体SOSと4年間の道のり〜』シリーズ第3回です。
前回の記事では、小1から小2にかけての母子登校の試行錯誤と、私たち親子がコミュニケーションを見直しながら成長していった様子をお話ししました。[第2回はこちら]
登校しぶり対応の4つの秘訣は第1回でお伝えしました。[第1回はこちら]
今回は、長女が小学3年生になった春に、ついに身体の不調の「本当の原因」が明らかになった時のこと。
そして「起立性調節障害(OD)」と「自家中毒(アセトン血性嘔吐症)」という診断を受けてから、私たちがどのように向き合い、対応していったのかを詳しくお伝えします。
小4で長女が「学校大好き!」と言えるようになるまでの道のりは、まさに身体と心の成長が繋がった4年間でした。
この最終章が、今も悩む親御さんにとっての希望となれば嬉しいです。
小3の春、ついに判明!長女を苦しめていた2つの病名

長女の体調不良が続く中で、ついにその原因が明確になった小3での出来事についてお話しします。
新学期の入院と「自家中毒(アセトン血性嘔吐症)」の診断
小3の春休み中に、風邪をこじらせて再び入院することになりました。そのため、小3の新学期はゆっくりとスタート。
体力が戻っていない状態では午前中までが限界と考え、最初から午前中のみの登校とし、先生とも相談して体力が戻るまで早退させてもらいました。

小1小2とも春は登校しぶりで欠席や母子登校が当たり前だったので、小3は体調のこともあり登校ハードルを下げました。
この小3春の入院は、かかりつけの小児科での点滴治療では吐き気が治まらず、大きな病院へ搬送されました。 その際に受けた検査で、ついに「自家中毒(アセトン血性嘔吐症)」と診断されたのです。
自家中毒(アセトン血性嘔吐症)とは、
体がエネルギー不足になった時に、脂肪を分解してできる「ケトン体」という物質が増えすぎ、吐き気や嘔吐を引き起こす症状のことです。特に子どものエネルギー貯蔵量が少ないために起こりやすいと言われています。
これまでも、自家中毒とみられる症状で点滴通いになることが頻回だった長女。
この診断を受けた時、長年抱えてきたモヤモヤが晴れるような感覚でした。娘の辛い症状に、ようやく名前がついたのです。
かかりつけ小児科での起立性調節障害(OD)の診断と服薬の継続
自家中毒の診断後も、長女は朝起きられない、立ちくらみ、頭痛といった症状に悩まされていました。
そこで、かかりつけの小児科で再度相談したところ、以前から示唆されていた「起立性調節障害(OD)」の可能性がより強く言及され、本格的な治療が始まりました。
起立性調節障害(OD)は
自律神経の乱れにより、立ち上がった時に脳への血流が一時的に低下し、めまいやだるさ、朝起きられないなどの症状を引き起こす病気です。
実は、長女は小1の7月から、朝の頭痛やめまいなどの症状のために、血圧を上げる薬を処方され服用していました(詳しくは第1回記事で触れています)[第1回はこちら]。
小3でODと診断された際、この薬がODの症状緩和に直接的に役立つこと、そして引き続き服用することの重要性を改めて指導されました。
私たちはその意味を強く認識し、薬の服用を継続していくことにしたのです。
そして、娘のHSP(ひといちばい敏感な気質)の特性が、ODの症状に影響している可能性についても、この時期に改めて考えるようになりました。
娘は、周囲の刺激を深く処理し、些細な変化にも気づきやすい特性があるため、それが知らず知らずのうちに自律神経に負担をかけ、ODの症状が出やすくなっていたのかもしれません。
【秘訣1の実践】診断を受けてからの具体的な対応と、家族の支え

2つの病名が判明し、それぞれの病気に対して具体的な対策を始めることができました。
自家中毒(アセトン血性嘔吐症)の症状緩和のためにやったこと
自家中毒の発作が起きた際の対応は、診断前から試行錯誤していましたが、診断後はより症状への理解が深まり、冷静に対応できるようになりました。

小児科の看護師さんによると、人によって糖分をとりやすいものが違うそうです!うちの長女の場合は、飴やメープルシロップ、塩ようかんが食べやすく効果的だったと感じます!
これらの対策をすることで、発作時の辛さを少しでも軽減できるようになりました。
起立性調節障害(OD)の症状緩和のためにやったこと
ODの症状を和らげるために、生活習慣の改善と処方薬の継続を軸に取り組みました。
これらの対策はすぐに効果が出るものではありませんでしたが、地道に続けることで、徐々に体調が安定していきました。
家族みんなで病気を理解!それぞれの役割分担とサポート
長女の病気は、家族全員で理解し、協力していくことが不可欠でした。
- 父の理解と協力: 夫も、ODや自家中毒について学び、長女の体調や朝の状況を理解してくれるようになりました。私が疲れている時には、長女の対応を代わってくれたり、精神的に支えてくれたりしました。
- 次女のサポート: 当時、幼稚園児だった次女も、姉の体調が悪い時には静かに過ごしたり、そっと寄り添ってくれたりしました。

妹である次女は、姉が大変な時は「お姉ちゃん、早く良くなってね」とお手紙を渡すなど元気づけてくれました。
- 祖父母の協力: 同じ市内に住む祖父母も、電話で励ましてくれたり、いざという時にはサポートに駆けつけてくれたりと、精神的な支えとなりました。
家族みんなが病気を正しく理解し、それぞれの立場で長女を支えることで、彼女は安心して療養に専念できたのだと思います。
【秘訣4の実践】ママのメンタルケア:倒れないためにやったこと

親が笑顔でいることが子どもの安心につながると分かっていても、毎日が辛いと笑顔になれませんよね。私自身が倒れてしまっては、子どもを支えられません。

今でこそ、登校しぶりで母子登校していたことを懐かしく振り返れますが、当時は親メンタルも精一杯でした(汗)
私がやっていた具体的な自分のメンタルケア方法としては、
・家族や友人への相談
夫や信頼できるママ友に、自分の気持ちを打ち明けることで、一人で抱え込まずに済むようになりました。K-POP好きのママ友と推し活の話をする時間は最高の気分転換でした!
・SNSでの情報収集・発信
同じ悩みを持つ人たちのSNSを参考にしたり、自身の経験を発信したりすることで、孤立感の解消と情報の共有ができました。
・一人の時間を作る
ありきたりですが、頭が子どもや学校のことだけにならないように、意識的に一人の時間を作り、好きなことに没頭する時間を持ちました。
親の心の余裕が子どもを安心させる、ということを忘れずに過ごしたいですね。
小4で「学校大好き!」に!心と身体の成長が繋いだ奇跡

小1から始まった長女の登校しぶりは、小4で完全に克服することができました。その劇的な変化についてお話しします。
服薬期間を経て…少しずつ見えてきた「卒業」の兆し
起立性調節障害(OD)の診断後も、小1の頃から継続して服用していた血圧上昇に効く薬は、長女の体調を支える大切なものでした。
すぐに劇的な効果があったわけではありませんでしたが、数ヶ月、そして3年以上にわたる服薬期間の中で、朝の体調不良が少しずつ軽減されていきました。
体のだるさや頭痛が減り、立ちくらみの頻度も明らかに減少。

朝、自力で起き上がれる日が増えていったのです。
医師とも相談しながら、小4になる頃から少しずつ服薬量を減らしていくことができ、小4の終わりには無事に薬を卒業することができました。
これは、薬の効果だけでなく、長女自身が自分の身体と向き合い、生活習慣を整えようと努力した成果でもあります。
妹の入学がもたらした大きな変化と心身の安定
小4になり、小1になった妹と姉妹一緒に登校するようになったことも、長女にとって大きな転機でした。

実は、姉の小1入学時の様子を覚えている次女でしたが、次女自身は登校しぶりなど全くなく、元気すぎるくらい元気に登校しています。
妹の存在が、お姉ちゃんである長女の責任感や自立心を育み、登校しぶり克服に繋がったのだと思います。
また、シンプルに身体的な成長も大きな要因でした。小3以前よりも格段に疲れにくくなり、体力が保てるようになったことで、学校に行ってもまだ大丈夫、と思えるようになったようです。
見た目でもはっきりとわかるほど、以前は食が細く痩せ型だった長女が、良く食べるようになり、少し標準体型に近づいてきたことも、心身の安定に繋がった証拠だと感じています。
登校しぶりを乗り越えて、私たち親子が手に入れたもの
約4年間、登校しぶりと真正面から向き合ったこの経験は、本当に大変だったけど、
長女だけでなく、私たち家族にとっても大きな学びとなりました。
❇️長女が得たもの
自己理解と自己肯定感の向上: 自分の体調や心の状態を理解し、「無理をしない」という選択ができるようになりました。この経験を通じて、自分を受け入れる力が育ったと感じています。
困難を乗り越える力: 辛い時期を乗り越えた経験は、長女を精神的に強くしました。どんな壁にぶつかっても乗り越えられる自信につながったと思います。
共感力: 自分が苦しんだ経験があるからこそ、他の子が困っていたり、辛そうにしていると、そっと寄り添える優しい子になったなと感じています。
❇️家族が得たもの
深い絆と理解: 家族一丸となって困難に立ち向かう中で、親子の絆、家族の絆がより一層深まりました。お互いを深く理解し、支え合う大切さを学びました。
柔軟な対応力: 子育てって、マニュアル通りにはいかないことばかりだなって痛感(笑)だからこそ「こうしなきゃ!」って思い込みすぎずに、状況に合わせて柔軟に対応する力がつきました。
いい意味で「ま、いっか!」と思えるように。
外部連携の重要性: 困った時には、一人で抱え込まず、医師や学校の先生など専門家と連携することの重要性を学びました。
まとめ:試行錯誤の先に、必ず光が見える

今回のシリーズを通して、長女の約4年間にわたる登校しぶりの経験と、私たちが実践した「4つの秘訣」についてお話ししました。
決して平坦な道のりではありませんでしたが、身体のSOSに耳を傾け、適切な診断を受け、家族一丸となってサポートすることで、長女は笑顔で学校に通えるようになりました。
今、同じように登校しぶりで悩む親御さんへ、伝えたいメッセージがあります。
「大丈夫!試行錯誤の先に、きっと希望の光は見えてくるから。」
焦らず、お子さんのペースを尊重し、そして何よりも、ママ自身も無理をせず、心の健康を大切にしてくださいね。
この体験談が、あなたの心に少しでも希望の光を灯し、前に進むための力となれば幸いです。
【登校しぶり克服記シリーズはこちら!】
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